制作過程(赤霞の残り香)

更ですが公開してみる。途中で「どこ変わった?」ってショットもありますが。夜景2回やり直してるのは我ながら笑う。途中グリザイユで失敗して「なんでうまくいかねんや!」「もうやらん!!」となったのはよい思い出です(グリザイユ失敗したの2回目)。ラストはこれを1枚描くのに使ったパレットです。会社の宴会で余って「持ち帰っていいよ」された紙皿。夜景のベースは数年前に(今は無き世界貿易センタービルディング@浜松町から)撮影した東京の夜景です。なのでヒルズらしき建物が描かれているのです。

デザフェス59御礼!

ザインフェスタvol.59、無事に終了いたしました。お立ち寄りいただいた皆さん、お手に取ってくださった皆さん、プレゼントくださったおねえさま、売り子してくれた某氏、ありがとうございました!!

今回は絵画原画を主軸にするのは変えず、絵画にリンクするアクセサリーをテーマにしてみました。仮にも画家なのでアクセサリーもフル手描きで、お祭りのデザフェスらしく華やかに、と前回から大幅に内容を変更。前回のデザフェス58は初出展にして「頒布物が原画とポストカードのみ」という強気な内容で挑み見事に玉砕し大赤字を叩き出したのが記憶に新しく、ぶっちゃけちょっとトラウマでした。今回は購入しやすい商品であるアクセサリーをたくさん作ったので「誰かしらには刺さるだろう」「お迎えゼロはないだろう」とは思いつつ作風は若干攻めていたのでその予想もあやしいもので、フードエリアの目の前という僻地に配置されたのもあり、「売上ゼロだったら次回はない」「これがラストチャンス」と愚かにもセルフプレッシャーをかけてメンタルが疲弊していたのでした。

詳細な収支は割愛しますが、支出がおよそ9.5、売上がおよそ5で、差し引き△4.5でございました。材料費とブース代はカバーできました。ありがとうございます。趣味の範囲なので人件費は考慮しないし、壁代やホテル代は「必ず必要な経費」ではないので、そのあたりはポケットマネーから捻出します。4.5でこれだけ楽しめたなら実質無料だよね~。

反省点としては、
・軍手を忘れた(壁打ち作業はそんなに多くなかったとはいえ手の保護は必要)
・商品お渡し時の梱包材が少ない
・イヤリング金具の予備を商品数と同等用意すべきだった
・イヤリング商品をもっと増やしておくべきだった
・かんざしをもう少し制作すべきだった
・テーブル奥行き60cmは出入りが結構しんどい
・安全ピンと予備のカードと小さいカッターマットとテーブル下に使える引き出しがあったらベストだった
・実際の在庫数と計算上の在庫数が合わない(後者の方が多い謎展開。荷造りの際に今一度確認すべきだった)
・クレカ導入を検討すべき
あたりです。
よかったところは
・テーブル横幅を120にしたことでテーブル上が貧相にならずに済んだ(横幅を欲張ると余白が増えてしまい貧相になる)
・テプラを持参していた
・テーブルに高さをつけていた(無印の引き出し収納で高さをつけていたので同時に収納も確保)
・無印収納に売り物を入れて輸送したため無傷で自力搬入を完遂した
あたりです。

駆け出し画家なのでまずは好きなものを好きなように描き散らかそうと思って前回・今回と青色でやってきましたが、次は何にしようかなぁ、宝石か花は描かないと成仏できんなぁ、とりあえず花かなぁと思っていましたが、プレゼントくださったおねえさまとの出会いで「宝石」で確定しました。こういう予期せぬ出会いがあるのもデザフェスですよねぇ。今回は青い蝶なのでアクセサリーも画家業と絡めやすくオリジナリティも出しやすかったのですが、宝石だと既成モールド使わないといけないかしらオリジナリティどう確保しようかしらとか、わたしが宝石知識結構ある方だから逆にアタマカラッポで描けないなとか、描く石はどうしようかブーススペースと準備期間を考えると2枚しか描けないけど宝石2種類に絞るの難しいよ好きな宝石いっぱいあるもんとかまじでいろいろ考えてしまっていましたが、ひとつはアメジストでプラチナブロンドの髪と絡める感じになりそう。となるともう1枚はグリーンを帯びた黒髪かなぁ、宝石はエメラルドかなぁ、いやクロスリンクもいいよな概念の交換も滾るよねぇ。宝石よりは原石の方がメインになるかも。水晶ジオードの構図は前々からやりたかったしね。珍しく男女で描くかも。特に好きな宝石はガーネットやサファイヤ、アレキサンドライト、オパール、パール、ダイヤモンドあたりなのでどれかは描きたいなと思いつつ、別に大きいサイズにこだわらず6号付近のサイズを4枚とかでもいい気がしてきた。など、描きたい欲がバキバキでございます。描きたい気持ちが大きい上に描きたいものが多くてごちゃごちゃないまぜで本当に収拾がついてない状態ですが、デザフェス59の片付けしながらちょっと落ち着かせつつ考えよう…… ちなみに誕生石はそんなに興味がないので12種類描くということはないと思います。宝石が趣味のくせに12ヶ月分全部言える自信がない程度には興味がないw

次回60は一般参加の予定です。本業のシステム屋がリリースを迎えるので、準備期間半年は無理と判断しました。前回・今回とほとんどブース巡りをできなかったので、たまにはぶらぶらいろいろ見たいなと思っています。来年春の61は当選すれば出たいです。素数だし。

予定よりだいぶいろいろ喋っちゃったw 兎にも角にも、今回もたくさんたくさんありがとうございました。またひとつ、とても大きくてとってもよい思い出ができました。この胸に溢れんばかりの気持ちを大切に大切に愛しながら、腐ることなく進んでいけたらと思っています。そろそろ夏本番ですね、みなさまご自愛ください! また会いましょう~!!

前夜まで一切記事を書かない駆け出し画家がおるか……

いうわけで、今週末5/18および19、デザインフェスタvol.59に出展いたします。西1階ブースNo.F-231にてお待ちしております。フードエリアが目の前です。詳細はサイトのトップに書いたから見といて。(丸投げ)

今回も大きめ原画新作2枚を主軸に、絵画・イラスト・雑貨エリアにブースをいただきました。前回ブースの演出のために作って飾っていた青い蝶が思いのほか好評だったので、今回はアクセサリーを作って、絵画とリンクする・手描き一点ものの世界をテーマにしてみました。なので、わたくしはあくまで画家のくせに「アクセサリー→絵画」の順でコンセプトが固まりました。まぁいずれにせよ、蝶は好きなモチーフなのでいつかは描いていたとは思う。たまたま順序が逆だっただけで。

前回はP20というサイズ、今回はM12で一回り以上小さくした上、グレーとブルーしか使っていない作品になりました。かといって前回より楽に描き上げられたかというと勿論そんなわけはなく。大きさ、色の数、被写体の細かさに苦労は比例しませんね。描き終えてしまえば「今回もいい絵になった」「よかった」とポジティブな気持ちしか残らなくて、最後にそう思えるなら、この苦労も悪くないか。と、ヒトは愚かにも都合の悪いことを忘れ、また次の地獄に足を踏み入れるのです…しんどいのわかってるのにまた描こうとするんだよな……いちお趣味なんだしつらいならやめればいいのに……笑

メインの絵画以上に苦戦したのが頒布する蝶のアクセサリーで、すべてプラバンに手描き+レジンで加工というプロセスを踏んでいるのですが、「プラバンに手描き」以外のところで失敗が多くて辛酸をガブ飲みさせられました。描くじゃん? まぁここはいいよ腱鞘炎寸前だし気化したマッキー吸いすぎて具合悪くなるけどまぁいいよ問題は次からだよ。切るじゃん? なんか左右対称になってなくて失敗するじゃん。プラバン焼くじゃん? ぐねぐねして戻らなくて失敗するじゃん。焼いたプラバンに角度つけるじゃん? なんかへんなところで曲がって失敗するじゃん。にじみ防止用のコーティングするじゃん? にじみ防止コーティングでにじんで失敗するじゃん。プラバンにレジン乗せるじゃん? レジンこぼれて失敗するじゃん。レジン固めるじゃん? このタイミングで過去のチェックで見つけられなかったミス発見して失敗するじゃん。完成するじゃん? 猫に落とされて折れて失敗するじゃん。という世にも奇妙な失敗パラダイスで心が折れたこと数知れず。プラバン20枚近く描いて焼きで全滅したときは流石に天を仰ぎましたね…… そんな苦難を乗り越えて40点ほどのアクセサリーを制作しましたが、まだ安心できぬ。搬入時の衝撃で壊れる可能性がある。そんなヤワな作りをしたつもりはないけど何が起こるかわからないのが人生、もう怖くてほんとトラウマになりそう(真顔)。

前回の反省で「宅配搬入を使おう」と書いた記憶がありますが、今回も全部自力での搬入です。懲りなさすぎる。と言うのもですね、直前まで制作していたのです…ギリギリすぎる…… 今回は当落が出たのが12月でね、あの、その…寒くて……やる気と元気が…出なくて……制作に本腰入ったのが…2が……ts…… でも搬入を楽にしようと荷物がひとつで済むように大きいスーツケースを買いました。これをゴロゴロするだけなので移動はダイジョブです。ほら見ろ、都合の悪いことを忘れ次の地獄に足を踏み入れる愚者がここに。他山の石としてください。

そんなこんなでセルフでトラウマを植え付けられつつ直前まで制作していて体力勝負の自力搬入に踏み切った計画性/zeroの終末画家ですが、なんとか前日まで生き延びました。みなさまとお会いできることを楽しみにしております。気をつけて来てね!

デザフェス58ありがとうございました!!

ザフェス58、無事に終了いたしました! お立ち寄りいただいた皆さん、お話してくださった皆さん、本当にありがとうございました!! 差し入れくださった某友人、お手伝いしてくれた某友人、本当に本当にありがとう!!

収支は別の記事で書きますが、結論から申し上げると笑ってしまうくらいの大赤字でした。大丈夫、今回の費用は全額ボーナスから出すので実質0円です。(暴論) 「きれい」「すごい」という声をたくさん聞けて、立ち止まってくださったり熱心に感想を伝えてくださった方もいらっしゃって、「好きです」と言っていただけて、本当に嬉しかったです。売上がほぼなかったにもかかわらず、「また出展したいな」と思っているのは皆さんのリアクションを生で受け取り、皆さんが感想をわたしに伝えてくださったからです。恐れ多くも、同業者・他業者からのオファーもいただきました。思ってもみなかった出会いもあり、これがリアルイベントの力かと震えました。当ブースを見てくださり本当にありがとうございました。皆さんのおかげで、爆笑の大赤字を叩き出しても参加した価値はあったと言い切れます。

次回vol.59への出展は考え中です。正直結構疲れたのと、休む時間がほしいなという本音と、次回vol.59は開始が1時間前倒しになる(=設営時間が1時間減る)らしく、自宅から電車で会場入りした結果そこそこギリギリだった実績を見て判断に迷っている状態。ここまでの大赤字を叩き出した上に前泊はちょっとリスク大きいかなと。来秋vol.60(仮称)でも10時ならそのときは腹くくって参加しようかなと思っています。

今回はあまり変わり種をぶちこまない正統派っぽい絵画での参加でしたが、実はいろいろやってみたいアートはあります。しばらくはコンセプトもへったくれもなく、心の赴くままに好き放題やる期間にしましょうか。画家としてはまだまだ駆け出しなので、いろいろ模索していきます。それではまた、いつかリアルイベントでお会いしましょう!

デザフェス58初出展レポ:収支と戦略の話。

めてのデザフェス、初めてのリアルイベント、無事に終了しました。お礼はこちらの記事でしっかり記載しましたが、一方で死ぬほどぶっちゃけなデザフェス初出展収支を公開します。ここまで清々しいといっそネタにするついでに後世に残した方がいいと思う。

収支をぶっちゃける前に、今回初めての出展にあたり、コンセプトは以下としておりました。

・青い幻想系のブース
・夜の景色と蝶々
・原画ならではの存在感や質感の訴求

そのため、出展内容は以下としました。

・九重ミワの世界観を全面に出したメインビジュアル原画2枚
・+手に取りやすいサイズ・価格の原画
・作者:九重ミワ(938)にちなんだ枚数38枚
・名刺・ポストカード・プライス・キャプション以外をすべて手描きする
・戦略:種類は絞り、コンセプトや世界観は明確に

で、赤裸々にぶっちゃける収支は以下でございました。

【費用】
・ブース:24,000円
・壁凹型:27,500円
・防炎布レンタル:3,800円
・ホテル1泊ツイン:21,074円
・木枠SM:17,974円
・木枠P20:3,476円
・ロールキャンバス:24,750円
・木枠F3:990円
・木枠P6:726円
・名刺600枚+ポストカード2種*各30枚:6,650円
・その他こまごました備品や食費・交通費
合計:約16万円

【売上】
・ポストカード売り上げ(単価200円*3枚):600円
合計:600円

【収支】
・△約16万円

笑ってもらって大丈夫です。デザフェスで黒字を出すのは難しいと言われますが、ここまでの大赤字を叩き出すのも難しいと思われます。なお売上のポストカード3枚のうち2枚は友人が購入してくれたものなので、実質の売り上げは200円です。

出展してみてわかったことがいくつかあったので、これからデザフェスに出てみたいなと思う方が二の轍を踏まないよう、つらつら書いてみます。

◆コンセプト自体は悪くなかった

青いブース、幻想系、夜の景色や蝶々というコンセプト自体は間違っていなかったと感じています。「ここはこういうブース」という情報がわかりやすく伝わるブースは作れたのではないかと。

◆ラインナップとデザインがよくなかったかもしれない

事前にデザフェス出展のコツなどggって勉強しており、「コンセプトを明確に」「頒布物の種類を増やさない(種類が多いと購入につながりにくくなる)」「売り物なのかを明確に」など先人の言葉を参考にしていたのですが、それでも失敗しました。「頒布物の種類を増やさない」で「原画とポストカードと名刺だけ」に絞ったのです。否、絞ったつもりだった。全然絞れていなかったのです。描いた本人は「原画1種類を38枚」のつもりでしたが、お客さんとしては「38種類の原画」になっていた。だからどれにしたらいいか迷ってしまい、機会を逃したのかもしれないと、当日になってから気付いた。また、名刺デザインがポストカードデザインとほぼ一致していたため、「無料の名刺だけでいいや」とポストカードの購入意欲を削いでしまった面があるかもしれません。駆け出し画家のため作品数が少なく、名刺デザイン=ポストカードとのサイズ違いになってしまったのです。蝶々原画はラメやパールを塗っており1枚ずつ個性があったのですが、会場でうまくパール感やラメ感が見えなかったのもよろしくなかった。バーニッシュ(仕上げニス)はグロスにせずマットの方がよかったかも。

◆事前シミュレーションが甘かった

自宅でレンタル壁の大きさを再現したり、ブース配置をフォトショでシミュレーションしたりはしていたのですが、それでも「装飾品の重量が想定以上で急遽変更」「結局ブース配置を変更」などが発生しました。また、テーブルはレンタルせず(組み立て式ラックを使用)宅配搬入も利用せず売り子ちゃんとふたりで強引に手持ち搬入しましたが、やはり電車移動や駅までの道中など無理があるので、レンタルできるものはレンタル・送れるものは送るのがよいです。デザフェス出るだけでカネかかるんだから、宅配やレンタルの料金ケチっても何にもならん。

原画20枚ほどをかけるのに木ねじを使いましたが、原画側の吊りカン取り付け位置がそれぞれ異なっていたり(キャンバスをとめるタッカー位置がそれぞれ違うため)、原画の紐の長さが違うため、縦横等間隔に木ねじを打っても原画をかけると水平・垂直が揃っておらず不揃いな印象がありました。紐はリボン結びをしたため結んでから切断していましたが、見た目より機能を優先すべきだった。吊りカンは同じ位置に、紐はあらかじめ同じ長さに切って、個体差を極力潰すのがよいようです。

◆工具が足りない事件

デザフェスの壁は硬く画びょうが刺さらない・釘を打つのは壁が揺れるため結構大変などの事前情報から、壁には電動ドリルで穴をあけ電動ドリルで木ねじを打つことにしていました。しかし電動ドリルの充電が途中で切れた挙句、荷物を減らすために普通のドリルもドライバーもキリも持っていませんでした。急速充電器や指で木ねじをねじ込んで強引に間に合わせましたが、間に合わない可能性も十分にあった。壁への木ねじ取り付けの他、ラックの組み立てにもドライバーを利用したためどう考えても2人で1本では足りなかった。「電動工具と通常工具を用意」と「人数分の工具を用意しておく」ことは大切でした。

◆持ち物について

筆記用具はシャーペンとボールペン、油性ペンそれぞれ黒は持参しましょう。青いブースだからと青いペンしか持参しなかった結果、開場してからキャプション誤植に気付き暗め青ペンで強引に修正するハメになりました。また壁が意外と汚れたため、白で修正できる準備があるとベストかも。

◆まさかの頒布物より装飾品の方が好評

頒布物は原画・ポストカード・名刺の3種類だが、ブース装飾品として、プラバンとレジンで作った青い立体蝶をたくさん飾っていました。自分でもきれいだと思っていましたが、複数の方から「この蝶は売っていないのか」とお問い合わせをいただきました。「立体蝶が良すぎて原画が霞む」とのコメントも。原画にこだわりすぎず、自分が「いい」と思ったものを売るのも考えた方がよさそうです。割と前向きに検討しています。今回はプラバンもレジンも初心者で売りに出せるクオリティではなかったのですが、そっちも習熟したいです。

◆ブース配置について

原画はすべて壁に飾りましたが、一番見てほしい原画がブースの一番奥かつテーブルがブースの一番前だったことからか、なかなか原画の目の前で見ていただくことができませんでした。「ブースには高さを出せ」「モノは立った状態での視線の高さに置くこと」と先人たちが言っていますが、売りたいもの・見てほしいもの(今回は原画)は「壁付近ではなくブース前面に出せ」を追加したい。大きいサイズの原画だと難しいことではありますが。今後のブース設計の課題です。

ブース配置について、テーブルを以下のように置きたかったため、今回はレンタルは利用せず自前のものを使用しました。レンタル備品では条件に合うテーブルが用意されていなかったので。

・横長ブースに対して縦に置きたい
・ブース奥行90cmに対し、壁を置いたため壁分3.5cmが引かれ、奥行は86.5cmに
・86.5cm以下で下に荷物が置けるテーブルがない
・テーブルは細く存在感がないものがよい
・60cm*30cm*80cm程度の組み立て式ラックをバラした状態で搬入

結局開場して割とすぐに「ブースとテーブルが水平」な状態にレイアウト変更したので、テーブルはレンタルでも問題ない状態になってしまいました。

次回をいつにするかは未定ながら、また出展したい気持ちはあるので、それまでの間に反省点はがっつり潰します。制作以外にも考えなければならないことが多く出展は本当に苦労しますが、間違いなく出展する価値というものはあるので、また色々トライしたいですね。何より、わたし自身がもう「うまくいったときの楽しさ」を知ってしまっているから。1回きりで我慢できないのです。

なぜ今、このタイミングで、デザフェスに出ることを決めたのか。

そんなの勢い100%ですよ。(真顔)

稚園、小学校、中学校とよく絵を描いた。部活は美術部だった。しかし高校進学で急に演劇にシフトし、大学進学以降は以前に比べるとめっきり描かなくなり、マインドクラッシュを食らって中退してからはアナログで書くことすらしなくなった。ときどき誰かのお祝いごとで絵を描いて贈ったりはしたが、数年に一度程度。しかし描くたびに筆を取る楽しさに精神が高揚する感覚があり、写真での表現に舵を切っていたのもあり、また、何かしら表現をしたいとは思っていた。

さかのぼること12年前、初めて一般参加したデザインフェスタ33は実に楽しかった。開催当時(2011年春)は既に創作の場を名前変換小説・写真・ポエムに移していたが、デザフェス会場で様々な創作物に触れ、実物と作者を実際に見て、たいへんな刺激を受けたのは記憶に新しい。しかしそれと同時に打ちのめされたのも確かだった。自分の才能の限界を思い知らされた。ビッグサイト西館にひしめいていたのは種々雑多な才能たち。何年も本格的な創作から遠のいていた自分では、凡才のわたしでは、到底戦えたものではない。勝負にさえならない。実力の差を徹底的に思い知らされながらも、同時に創作意欲を掻き立てられ、その向き先がなく焦れた。正面から実力だけで戦うのでは勝てない。では、何かしらのイノベーションで戦えばいい。写真となにかを組み合わせた表現はできないか、デジタルではなく“実物”に価値のある創作とは何か、を考え、鬱を患い、しばらく筆を折っていた。まだ何も成し遂げていないというのにいきなり折った。

時は過ぎ、鬱と運がそこそこ好転したところで就職し、一人暮らしを始め、いろいろな世界と人を知った。システム開発に出会い、プログラミング思想に触れ、「こんな会社辞めてやる!!」と転職し、年収を上げ、住まいを変え、愛を知り、恋に破れ、雨に打たれ、冬の寒さに晒され、すっきりと晴れた青空に両手を広げ、差す朝日に目を潰された。辛酸を舐めた人生の中で、少しばかり収入に余裕が、部屋に広さが生まれた。久々に描いてみようか。時はゴールデンウィーク、時間もある。そうして画材店に走った。

実はデザフェス向けメインビジュアルを描く前に挑戦してみたいアートがあり、挑戦もしたのだが、習作がことごとく失敗し筆を折った。何度折るんだ、もったいない。まぁこの時点ではまだ筆使ってなかったんだけど。閑話休題。このとき挑戦したのはポーリングアートという、絵具の流れや偶然性を楽しむものなのだが、乾燥に時間がかかり、同居する猫の毛が混入しやすいこともあり断念した。「誰でも簡単に楽しめるアート」と称されることがあるのも理由だった。誰でもできるということは、オリジナリティに乏しいということだ。わたしの目指すものとは少し違う。

そういえばデザフェスの時期だったな、と気付き、数年ぶりに足を運んだ。以前より独創性が控えめになっているように感じた。それは時を重ね、見てきたものが増え、自身の引き出しが肥え、目新しさを感じにくくなったからだろうか。インターネットの普及でコンテンツに溺れているからだろうか。どれもが正解なのだろう。

結局、原点に戻ってくるものだ。かつて最も情熱を注いだ、キャンバスに筆と指でアクリル絵具を乗せるスタイルに帰着した。構図は、以前考えていた「イノベーション」から「テクノロジー」を引き、本人の技量への依存度を高めたものになった。翻すドレスに、青い景色、都心の夜景と大自然の天の川。対になる作品を、それなりの大きさで、時間をかけて向き合おうと思った。せっかく描くならお披露目してしまおうと、数年ぶりのデザフェス一般参加の熱をそのままに出展申し込みを送信していた。勢いというものは恐ろしい。だが時に、勢いに身を委ねなければどうにもならないこともある。かくして締め切りは決まった。

あー、つらかった。真面目に絵を描くの何年ぶりよ。なんか色の深み足りないし。ビル群の縮尺おかしいし。グラデーションにする前に乾くし。動画見ても全然あんな感じにならないし、何あれ魔法? しかし今回は筆を折らなかった。ずっとやりたかったことが、今、やっとできている。この機を逃したら、次はいつになるか。そして何より、やっぱり、楽しかった。綺麗な色が乗ったとき。美しいシルエットが引けたとき。狙った雰囲気が出てくれたとき。描いていて苦しいことの方が多い、ずっと多い。それでも、頭の中にあるものがキャンバスの上で具象化したときの快感には勝らない。「あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜あ゜」などと聞くに堪えない絶望ボイスを轟かせながら、甘美な快感が忘れられずに描き続けた。

初めてのデザフェスを目前にして、楽しみよりも恐怖が勝っている。直前に地震が来て作品が全部ダメになったら。申し込んでいたはずのものが手配されていなかったら。インフルやコロナに感染したら。ボコボコに批判されたら。誰にも見向きもされなかったら。しかし世に出す以上は「誰からも認識されない」ということはない。そして何より、「描いていて楽しかった」という、過去、確かにわたしの中にあった感情が嘘になることはない。かつて味わった快感と目の前にある作品が、わたしを前へと押し進めてくれる。

さてあと2週間。できることはすべてやろう。人生最初で最後のデザフェスかも知れないのだから。

デザインフェスタvol.58 出展します

ザインフェスタvol.58
2023/11/11-12 東京ビッグサイト
西館1F ブースNo.B-168

初出展します! ブランク10年の手描きアクリル絵画です。
大きいサイズの原画2枚(↑のもの)とポストカード、
それとA5サイズくらいの蝶々原画38枚(各5000円)、無料配布の名刺を頒布します。
見に来るだけでもぜひ! 遊びに来てください。

デジタル時代だからこそ、アナログで絵を描いた。

PCの登場、スマホの普及、サブスクサービスの台頭…… 世はデジタル時代。音楽はAmazonPrimeでいつでも聞ける。Instagramでイラストも絵画も見られる。YouTubeでいろいろな娯楽が見られる。知らない場所にもストリートビューで行ける。スマホひとつですべてが完結する時代、片手に収まる全世界。便利な世の中になった。
だからこそ。このデジタル時代だからこそ、わたしはアナログで絵を描いた。絵具の盛り上がり、平滑な画面、ギザギザとした筆の跡、ゆれる境界線。アナログ絵画には、作者の呼吸が宿る。筋肉の動きが境界線に現れ、心臓の鼓動が筆の跡になって残る。息を止めて慎重に絵具を盛り上げる、もしくは、一気に息を吐いて絵具を塗り広げる。血管を赤血球と酸素が駆け巡る、そうして動く指先の動きのすべてがキャンバスに現れる。どの角度からも鑑賞できる、環境次第でいくらでも表情を変えるアナログの魅力はそこにある。ビットに変換されない、作者の呼吸をそのまま宿す存在に触れたい、触れてほしい。だからこそわたしは、このデジタル時代に、アナログで絵を描いた。